伊川易伝爻辞
物窮まればすなわち反り、事窮まればすなわち変ず。困すでに極まれば、理としてまさに変ずべし。葛藟はまつわり束ねる物であり、臲卼は危うく動くさまなり。上六は困の極みに処し、困のまつわり束ねるところとなって最高危の地に居る。「葛藟に困しみ、臲卼たり」なり。「動悔」とは、動けばすなわち悔いありて、困しまざる所なきなり。「悔いあり」とは前の失を咎むるなり。「曰く」とは自ら謂うなり。もし能くかくのごとく動けばみな悔いを得ると言い、まさに前の為すところを変じて悔いあるべし。能く悔ゆれば往きて吉を得るなり。困極まりて征けばすなわち困を出ず、ゆえに吉なり。六三は陰をもって下卦の上にありて凶なるに、上六は一卦の上に居りて凶なきは何ぞや。曰く、三は剛に居りて険に処し、困して剛険を用いる、ゆえに凶なり。上は柔をもって説に居り、ただ困の極たるのみ。困極まればすなわち困を変ずるの道あり。困と屯の上爻は、ともに応なくして卦の終わりに居る。屯は「泣血漣如たり」、困は「悔いありて征けば吉なり」。屯は険の極みであり、困は説の体なるによる。説順をもって進めば、もって困を離るべきなり。