周易本義卦辞
蹇は紀免の反。
蹇は難(なん)なり。足が進み行く能わざるの難なり。卦たる艮下坎上、険を見て止まる、故に蹇と為す。西南は平易、東北は険阻にして、また艮の方なり。まさに蹇中に在りては、険に走るべからず。また卦は小過より来たり、陽進めば往きて五に居りて中を得、退けば艮に入りて進まず。故にその占に「西南に利しく東北に利しからず」と曰う。蹇の時に当たりては、必ず大人を見て然る後に難を済うべく、また必ず正を守りて然る後に吉を得。而して卦の九五は剛健中正にして大人の象あり、二より以上五爻皆正位を得れば、則ちまた貞の義なり。故にその占にまた「大人を見るに利しく、貞吉」と曰う。蓋し険を見る者は能く止まるを貴び、而もまた終には止まるべからず、険に処る者は進むに利しくしてその正を失うべからざるなり。